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Vol.1 Yuko

Metal Design

彫金の経験はないけれど

大学でスウェーデン語を専攻していた祐子さんが、三年次を休学してレクサンドにやってきたのは2016年の夏。語学を通して見ていただけのスウェーデンに始めて訪れた時の感動は忘れられないという。
「大学には代々、三年次にスウェーデンへの私費留学する生徒が多かったんです」と、留学の直接の動機を語る祐子さん。先輩たちの作ったネットワークをつかい、生徒は自分たちで留学先を決める。やったことはなかったが、昔から手仕事には興味があったさんが選んだのは唯一彫金が学べるレクサンド国民高等学校だった。

学友たちと、感動ばかりだったストックホルムで数日過ごし、そこから皆スウェーデン各地にある各自の学校へ散っていく。レクサンドの印象はどうだったのだろう。都会のストックホルムとはだいぶ違う場所に戸惑いはなかったのだろうか。「良かったことばかりで、なにがとは言いにくい。もう全てがいい!」と笑う祐子さん。ただ、最初に思い出したのは食事のこと。「学食がおいしい。美味しすぎて友達と話すことなく、もくもくと食べてしまうほどなんです」地元の食材や調理法など、食にこだわった学食はもともと評判がとてもいい。

「先生はいるようで、いない」

2年制の彫金コースだが、1年生と2年生は同じアトリエに通っているという。だから初心者も基礎を学んだ者も見かけではわからない。祐子さんは「座学だけではなく、実践が多いカリキュラムがとてもうれしい」という。まったく彫金経験のなかった祐子さんだが、自分自身で企画、デザインをし作り上げる、というカリキュラムに驚いたらしい。

「先生はいるようで、いない。○○を作りなさい、とか先生は言いません」そして「自由に他人に気兼ねなく、自分の思う通りにモノをつくる」ことに対して先生も他の生徒も認めてくれる環境があるという。こうしたことは、ここでしか得られない事だったし「人間関係といういうものについて、改めて考えるようになりました」と祐子さんは振り返る。

いつでも使えるアトリエがある

日常はどんな風にすごすのか。「学校は8時半から15時半です」11時50分のランチとは別に、9時半と14時半に30分のフィーカ(カフェ休憩)があるのはスウェーデンならでは。 「終業後はアトリエに残り作業を続けるひとも多いです。23時ごろまで人がいることもしばしばです」

いつでも出入りできるアトリエ。自分のペースで納得のいくまで作業ができる環境があるのは意欲のある学生にとっては素晴らしいことだ。祐子さんも残って作業することが多く「集中しすぎてしまうので、夜は自室に戻ってぐったりです」という。